恵文社にて

  1. 森毅鶴見俊輔『人生に退屈しない知恵―シリーズ この人に会いたかった 1』編集グループ,2009。
  2. 矢島文雄『日本の大学』保育社,1966。

1年ぶりの恵文社。入口右側に積んであったカラーブックスの古書と自社では取り扱いのないの本を見て,5分でまんまと購入を決める。期せずして2冊とも大学に関連した本になっていたが,それは今でも大学なるものに関心があるということであろう。そういう意味では竹内洋先生の本も読まねばならぬ(と思いながら,10年近くが経過している)。


早速前者を読了。森・鶴見両氏の昔話は面白かった。そもそも,人の話を聞くということは大変に面白い。生まれた時代も場所もバックボーンも人それぞれで,それぞれの年輪を重ねている。上の年代のみならず同年代との会話ですらそうだが,自分が知らない,体験していないことをその人を通じて疑似体験をできるような気持ちになる。
森さんが亡くなってはや2年が経とうとしている。現在の大学システムにおいて彼のような大学人はもう現れないであろうけれど,彼の語りは21世紀に学生をしていたオレが読んでいてもスッと入ってくる。なにかこう,彼のような芯の通ったしなやかさを持ち続けたいという考えはこの20代の間,ずっと変わっていない。
両者の昔語りの中には同時代の色々な学者の名前が出てきた。今でもお付き合いがある学生運動真っただ中に学生だった元上司がいるので,それらの学者や当時の大学の空気,全共闘の話をもっと色々聞いてみたい。
今日も友人とそういう話になったのだが,祖父なら祖父で,昔の話をもっと聞いてみたかったという思いは今もある。こういう思いは往々にして手遅れになった頃にやってくる。母方の祖父からは満州からシベリア経由で帰ってきた話を聞いてみたかったし,父方の祖父からは華やかなりし頃の炭鉱職員時代の話やエネルギー転換で斜陽になった後に教職の道を選んだ経緯を聞いてみたかった。しかし,母方の祖父は一昨年鬼籍に入り(葬式の時に,満州開拓団の一員だったことを知った),父方の祖父は病院の人となり,もう言葉を話すことができない。ああ,ああ,やんぬるかな。